直帰ユーザーや直帰率の分析で陥りやすい3つの罠

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ウェブサイト運用者は、その成果を把握するためにアクセス解析をするわけですが、そのアクセス解析にしても見るべき指標が数多くあり、ちょっとした混乱を招くこともあります。アクセス解析がよくわからないままウェブサイトの改善を始めようとすると、わかりやすいセッション数を増やす・直帰率を改善するといった点にたどり着きます。

しかし、この直帰率の分析、正しく理解していないとデータを読み間違うほか、全くの労力の無駄にもなりかねません。そこで今回、直帰率分析で陥りやすい3つの罠についてご説明します。




直帰や直帰率とは

まずこの直帰とは何か?Googleは以下のように定義しています。

直帰とは、サイト内の1ページしか閲覧されなかったセッションのことです。Google アナリティクスの場合、Googleアナリティクスサーバーに対するリクエストを1回だけ発生させたセッションを特に区別して直帰として扱います。

また、直帰率については、

直帰率とは、1ページのみのセッション数をすべてのセッション数で割った値のことです。つまり、すべてのセッションの中で、ユーザーが1ページのみ閲覧して、Googleアナリティクスサーバーに対するリクエストを1回のみ発生させたセッションが占める割合のことです。

と定義しています。

サイト運営者としてはサイトを回遊してページを少しでも多く見てもらう必要があり、直帰を減らす・直帰率を改善するというのはサイト改善の命題の一つと言えます。例えば月間で10,000セッションがあるサイトの直帰率が50%でコンバージョン率を2%とすると、コンバージョン数は100件になります。ところが直帰率を40%まで低下させることができるコンバージョン数は120となります。全てのセッション数の合計を母数とすると、その割合である直帰率を下げることが成果に与えるインパクトが大きいことにもなります。

直帰が発生する理由

ではなぜ直帰が発生するのか?これはページ(ウェブサイト)で与える情報とユーザーが求める情報の関係が原因です。例えば、ユーザーが「お化けカボチャ」に関する情報を知りたい場合、検索結果や広告からたどり着いたページが調理器具のページだった場合、どうでしょうか。ここにはユーザーが求める情報がないのでページ(ウェブサイト)をじっくりと見ることなく離れることでしょう。

そのほか、スマートフォン経由でよくあるのが誤操作による広告経由の訪問があります。スマートフォンは狭い画面をタップして操作するため、うっかり広告をタップしてしまうことも多々あります。その場合はほぼページを見ることなく直帰をしています。

また上記二つとはニュアンスが違いますが、訪問した1ページ目でユーザーが知りたい情報を全て得ることができれば、そこでも直帰は発生します。この場合ユーザーにとって役に立つ情報を提供しているので問題はありません。

直帰の原因

3つの罠とその対処法

直帰率を改善することでサイトを回遊するユーザーを増やすことができます。サイトの平均PVが増えるということはそれだけユーザーが興味関心を持ってくれたということにもなります。そして、いよいよ直帰率の分析を始めるわけですが、何も知らないと気づかぬうちに不正確な情報を元に分析をしたり、有効な判断ができないということに陥ります。

それは「直帰の時間の罠」「直帰の質の罠」「直帰の重みの罠」というもので、アクセス解析に不慣れなマーケッターや新人を惑わします。特に難しいものではなくちょっと理解しておくことで簡単に回避することができます。

直帰の時間の罠

まず「直帰の時間の罠」ですが、平均セッション時間やページ滞在時間の取り扱いについてです。Googleアナリティクスの場合、データ集計上の問題で時間をカウントするタイミングが次のページへ遷移が発生した時に行われる、次のページへ遷移がない直帰や離脱は滞在時間が集計されないのです。そのため直帰のユーザーの平均セッション時間は0になり、全てのユーザーのサイト滞在を全てひっくるめて測る場合に、大きく影響を受けます。

この問題は「直帰のセッション」と「直帰以外のセッション」をセグメントすることで影響を減らすことができます。(離脱の分は直帰以外のセッションには少しばかり影響があります。)

直帰

上記の画像は「すべてのユーザー」での数値で、直帰率41.53%、ページ/セッション4.86、平均セッション時間を2:50です。これを「直帰のセッション」と「直帰以外のセッション」に分けると、大きく結果が異なります。

直帰

このように「直帰のセッション」ではページ/セッションは1、直帰率は100%となり、「直帰以外のセッション」ではページ/セッション7.6、平均セッション時間4:51とセグメントする前と比較すると大きな違いが現れます。

このようにサイトを分析するときは「直帰のセッション」と「直帰以外のセッション」を切り分け、その傾向をみる必要があります。

直帰の質の罠

次は「直帰の質の罠」ですが、これは訪問ユーザーが直帰なりにどれだけ興味関心を持ったか、コンテンツを読んだかになります。直帰の定義で言えば、1ページしか閲覧しなかったもの全てを表すので、それが1秒であろうが10分であろうが同じ扱いになります。スクロールもせずに戻ったユーザーと興味を持ってコンテンツをしっかり読んだユーザーとの価値が同じとは言えず、後者の方が後々の顧客になる可能性ははるかに高いでしょう。

この問題は「イベント」を集計することでデータを切り分けることができるようになります。ページのスクロールに合わせてイベントトラッキングをすれば、どこまでスクロールして読んでもらえたか「読了率(完読率)」を見ることができます。

下記のコンテンツにタグマネージャを使ったイベントトラッキングをまとめています。
Googleタグマネージャを使ってページの読了率を計測する イベントトラッキング

顧客につながる上質な見込み客を埋もれている中から見つけ出すことが、この質を見極める鍵となります。

これにスクロールに合わせて、それぞれの位置でのページ滞在時間を合わせて計測することで、ただのスクロールだけではなくしっかりと読まれていると判断できるようにすることも可能です。(設定方法は後日まとめます。)

直帰の重みの罠

そして最後は「直帰の重みの罠」です。直帰率を改善しようと思う場合、どのページを優先的に改善すれば良いでしょうか。セッション数が多いページを改善した方が良いでしょうか、それとも直帰率が100%のようなページを改善した方が良いでしょうか。指標が%で表される場合、単純に数字の大小で測れないところがあります。そのためセッション数が多くても、改善後のインパクトが低い場合もあります。

直帰

上記の画像は単純にセッション数でソートしたものです。このデータで見れば比較的直帰率が高そうな2番目(直帰率61.46%)と6番目(直帰率60.71%)が改善する候補のように思えます。

直帰率加重ソート

こちらの画像は直帰率を加重でソートしたものです。するとセッション数でソートしたものには出てきていない下位ランクのページが3番目以降に並んでいます。この加重によるソートを行うことで指標の持つ値の重要性を考慮した順に並べ替えることができます。(この加重ソートができる指標はコンバージョン率のように%で表せるものに限ります。)

まとめ

今回、直帰率の罠という表現を使いましたが、このようなことがあることを理解するだけでもデータの取り扱いかたが変わり、回避ができると思います。イベントトラッキングを使うものは多少なりと専門的なスキルが必要ですし、そもそもそこまで解析する必要があるのかというところもあります。しかしコンテンツマーケティングが叫ばれる時代、良質のコンテンツを提供し、そのKPIを正しく計測するにはこのようなトラッキングも必要になってきます。

Googleアナリティクスは指標も数多くあり、また新しい機能も増えています。そのため慣れないうちは操作を覚えることは大変ですが、改善に必須なKPIに関する部分だけでもマスターしておきましょう。

<この記事のポイント>

・分析には直帰のセッションと直帰以外のセッションを区別する。

・イベントトラッキングで読了率(完読率)を集計し、良質の見込み客を区別できるようにする。

・改善候補ページは単純にセッション数や直帰率で考えるのではなく、加重ソートを行って重要性を考慮する。




About Daigo Hirano 52 Articles
広告代理店や飲食業を経てECへ。熊本を根城にしてウェブ解析やウェブ広告の運用代行、SEOコンサルタントなどウェブ集客に特化した広告代理店をはじめました。 ウェブ広告はGoogle広告、Yahoo広告などのリスティング広告のほか、Facebook広告などSNS広告も行っております。 熊本・福岡・東京を中心に、大手代理店にお願いできない中小企業にスキルと知識を用いて集客支援をしています。

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