
攻めのマーケティングにも色々ありますが、ステップメールは顧客を育成し、ライフタイムバリュー(LTV)を上げるのに適しています。おそらくステップステップメールを実施している方は、その開封率の分析もしていることでしょう。メールを開封しリンクを踏んで再訪問したユーザーはそれなりに関心が高いわけですが、ユーザー毎に配信されるタイミングが違うので個別ではメールの特徴が捉えにくところがあります。しかし、コホート分析であれば日付ごとにグループ化するのでその特徴が掴みやすくなります。
コホート分析とは
Googleアナリティクスのユーザーの項目にはなかなか使わない機能がいくつかあります。その中でもちょこちょこと見かけるコホート分析。ぱっと見た感じ時系列にデータを何かするんだろうというのはわかりますが、ベータ版ということもあり実際に活用している人も少ないのでしょうか。
この聞きなれない「コホート」ですが、その意味は共通した因子を持ち、観察対象となる集団のことを表します。Googleアナリティクスでは時系列で「集客の日付」をコホートとし、その時系列でトレンドを延長するのではなく、データを動かしている変動因を分析する分析手法をコホート分析と言います。
このコホート分析を行うことで「集客の日付」を一つのグループとして行動分析を行うことができるので、そのグループが日・週・月でどのように変化をしていったかを知ることができます。また、コホートの推移を比較することで時系列で発生する全体の特徴を掴むこともできます。
コホート分析の用語
GAではまだベータ版としての機能ですが活用することはできます。聞きなれない言葉もあるのでここで説明します。
コホート分析ではアナリティクス上でセグメントしたユーザーからなるコホートに「コホートの種類」「コホートのサイズ」「指標」「期間」を設定することでデータを得ることができます。
コホートの種類
グループとなるデータの集団を表します。ベータ版である現在ではこのコホートの種類は「集客の日付」のみとなっています。
コホートのサイズ
コホートの大きさの単位となります。サイズは日別・週別・月別の3パターンです。長い期間で分析をする場合はコホートのサイズを週別ないし月別にする必要があります。
指標
コホートが持つデータの指標を表します。現在指標は大きく「ユーザー」「合計」「定着率」の3つがあります。ユーザー一人当たりの指標をみる「ユーザー」、コホート内の合計を見る「合計」、コホートの再訪問状況をみる「定着率」と、必要に応じて変更することができます。
「ユーザー」
「ユーザー」ではユーザーあたりの様々な指標を見ることができます。
ユーザーあたりのセッション | コホートにより開始されたセッションの総数をコホートの合計サイズで割った値。 |
ユーザーあたりのセッション継続時間 | コホートのそう所要時間をサイズで割ったもの。 |
ユーザーあたりのトランザクション | コホートのトランザクションの総数をコホートの合計サイズで割った値。 |
ユーザーあたりのページビュー | コホートによるビュー(ページビューまたはスクリーンビュー)の総数をコホートの合計サイズで割った値。 |
ユーザーあたりの収益 | コホートにより生成された収益の合計をコホートの合計サイズで割った値。 |
ユーザーあたりの目標の完了数 | コホートで達成された目標の総数をコホートの合計サイズで割った値。 |
「合計」
「合計」ではコホートの持つ指標の合計値を見ることができます。
セッション | 期間内の合計セッション数。ウェブサイトやアプリなどに積極的に関わっている期間を指します。 |
セッション時間 | ウェブサイトやアプリなどに積極的に関わっている期間。 |
トランザクション数 | サイトで行われた合計購入数。 |
ページビュー数 | 閲覧されたページの合計数。同じページが繰り返し表示された場合も集計されます。 |
ユーザー数 | 0日目からN日後のセッションのコホート内のユーザー総数。(Nは任意の値で何日目かを表す) |
収益 | eコマースまたはアプリ内トランザクションによる総収益。 |
目標の完了数 | コンバージョンの合計数。 |
「定着率」
「定着率」ではコホートのユーザーが該当する期間にどのくらい戻すことができたかを知ることができます特にこの指標は能動的な施策を実施した時に効果がああったかを知るのに役に立ちます。。
ユーザー維持率 | N番目の期間(日、週、月)に戻ってきたコホート内のユーザーの数を、コホート内のユーザーの総数で割った数です。 |
期間
コホートを過去何日分にするか決めるもの。現在、コホートの種類が「集客の日付」であるため、ここで設定する期間がコホートの数となります。また、コホートのサイズによって選択できる期間が変わります。
期間 | コホートのサイズにより選択できる期間が変わります。 「日別」 ・・・ 過去7日・過去14日・過去21日・過去30日 「週別」 ・・・ 先週・過去3週・過去6週・過去9週・過去12週 「月別」 ・・・ 先月・過去2ヶ月・過去3ヶ月 |
コホート表の読み方
コホート分析ではコホートごとの時系列での推移を表で見ることができます。
図の左側の日付がコホートになります。それぞれのユーザー数はコホートの持つユーザー数で、集客の日付に得られたユーザー数です。
図の上側の時系列は経過日数を表し、右に行くほど集客日から経過した日になります。
このコホートと時系列を組み合わせることで、コホート毎に集客が起きた日から何日目に変化が起きているかを掴むことができます。このことから販売促進のためにメルマガを送るといった短期のマーケティングから定期的なキャンペーンの成果を推し量ることができます。
ステップメールをコホートで読み解く
ステップメールの場合、ユーザーとの登録や購入などの初回エンゲージのタイミングによってその開始タイミングが変わります。コホートをステップメール経由のアクセスに絞り込むことで、ステップメール経由のユーザーの行動にのみ絞り込むことができるようになります。この分析を行う上で必要な事前の設定がいくつかあります。
事前に準備が必要な設定
・ステップメールにパラメータを設定する。複数のステップを分けて見る場合は、キャンペーンでどのステップかわかるようにしておきます。
・アナリティクスで初回のステップメールの経由の訪問をユーザーでセグメントができるようにしておきます。
ステップメールのコホート分析
ステップメールを評価するためのコホート分析の手順は以下のやり方で行います。
1・アナリティクスのセグメントを初回のステップメール経由のみにします。
初回のみに設定することで、ステップメールを最初に開いた人がステップで離脱や収益に繋がっているかなどを掴むことができます。
2・コホートのサイズは日別を選択します。
ステップメールの場合、日数に応じて配信タイミングを決めていると思います。そのため、日別の推移を見るためにもコホートのサイズも日別にします。
3・コホートの期間は過去14日もしくは過去21日、過去30日を選びます。
複数回のステップの場合、その全てのステップが完了するまでの期間を集計できるようにします。
4・指標は任意のものにします。
もし、メルマガのステップでの離脱を知りたいのであれば「ユーザー維持率」を選びます。
また、収益につながるタイミングを知りたいのであれば「収益」を選ぶと良いでしょう。
5・2回目以降のステップメールが配信されるタイミングを時系列の経過日数として縦に表を見ていきます。
例えば2回目以降のステップメールが配信されるにも関わらず、配信日でのユーザー維持率が低い場合はステップメールからの訪問を促すことができていません。上の図では2回目のステップメール配信日で多くのコホートでユーザー維持率低いことから、2回目のステップメール経由の訪問を促すことができていないことがわかります。ステップメールの場合はユーザーとの関係構築が重要であるため、訪問を維持できていないということは関係構築がうまくいっていないということになります。メールの開封率がよくてもコホート分析でのユーザー維持率が低い場合は、メールの内容を検討した方が良いでしょう。
また、「収益」をメルマガ配信のタイミングで見たときに収益が高い・低いということがあればそのメルマガに原因があると考えられます。
ここで大切なのは縦一列を見ることです。一つだけ見た場合、変化起きてもそれがメルマガが原因なのか、たまたまそのコホートだけに影響があったのかが判断することができません。しかし、縦一列で見ることによって、変化が同じように起きるのであれば、原因はメルマガにあると考えることができます。
まとめ
見慣れない機能のため、あまりコホート分析を使うことはないかもしれません。もし自社でキャンペーンを行なっているのであれば、コホート分析をすることで最大3ヶ月で見てそのキャンペーンが効果があったのか判定することもできます。もちろんコホート分析をしなくても、キャンペーンでセグメントし、期間を指定することでその成否を判定することはできると思いますが、コホート分析を使うことでその全体を容易に掴むことができます。
この分析機能はステップメールを例に上げたように「攻めのマーケティング」と相性が非常に良いです。メルマガ以外にも広告などに使うこともできます。
ベータ版のため、最終的には実装されないかもしれません。本実装されることでより機能が強化される場合もあります。そんな時のためにもコホート分析に慣れて起きましょう。
<この記事のポイント>
・コホート分析は集客の日付をグループ化し、時系列で評価する分析方法。
・分析対象のコホートとなる集団をアナリティクスでセグメントすることが重要。
・メルマガなどの攻めのマーケティングと相性がいいので積極的に使いたい機能。
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