ウェブを活用したビジネスの場合、ウェブでの成果を図るための指標として「コンバージョン」を使うことがあります。このコンバージョンを最大化することは、広告や解析の運用で中心となる目標と言えるでしょう。今回はGoogle広告でのコンバージョンにあるアトリビューションについて説明します。
コンバージョンとは
まず「コンバージョン」についてですが、なにかビジネスの目的を達成した時に発生するものという風に捉えているのではなないでしょうか。もともとの単語の意味は「変換」であり、何かが違う形に変わったタイミングで使われています。特にウェブとの関係が深い言葉で、サイトを訪れた人が商品を購入したり、問い合わせをするといったビジネスの成果に切り替わることをよく指しています
しかし、このコンバージョンですが、なんとなくは理解しているもののどのように集計されているか正確には理解していない人も多くいます。コンバージョンを掘り下げれば掘り下げるほど使うツールや機能によって大きく違って来ることがあります。例えば同じGoogleのサービスであるGoogle広告とGoogleアナリティクスでは、同じ人のコンバージョンでも集計のタイミングが違うためそれぞれの管理画面でのコンバージョンがマークされる日付が違うことがあります。
・Google広告・・・原則として広告がクリックされた日付でコンバージョンがマーク ・Googleアナリティクス・・・コンバージョンが発生した日付をマーク
例えば「1/15に広告をクリックしてサイトを訪問。その日は何も買わず、1/17に自然検索でサイトを再訪問し商品を購入した」というユーザーの行動があったとします。するとコンバージョンの計測はGoogle広告では15日にマークされますが、アナリティクスでは17日にマークされます。特に月またぎや週またぎでデータを集計する際はこの部分に差が出やすいので注意が必要です。また、実はGoogle広告の中でも機能によりコンバージョンの集計タイミングが異なるものもあります。
アトリビューションモデルとは
色々な広告媒体があり、またサイトへの流入チャネルが増えたことで広告の効果を正しく検証する必要が出てきました。ダイレクトなレスポンスが見える検索広告と比べて、ニーズが顕在化していない層へ配信するディスプレイ広告はパフォーマンスが悪く見えていました。また、検索広告の中でもコンバージョンに繋がらないクリックは無駄なクリックという風に考えられていました。
しかし、実際のコンバージョンは複数回の接触があって発生している可能性があります。パフォーマンスが悪く無駄に見えたキーワードの中には、実は最初の接点やコンバージョンに至るまでの接点として意味があるものもあり、間接的にコンバージョンに寄与しているかもしれない、ということです。この間接的な効果である接点の「貢献度」を評価するためにアトリビューションという考え方があります。ちなみにアトリビューションは帰属という意味です。「貢献度」の影響は一回のコンバージョンを1とすると、その1を分配することになり小数点をもつ値になります。またコンバージョン値やコンバージョン単価も変化します。特にコンバージョンが1を下回っている場合はコンバージョン単価は上がります。
例えば広告費が1000円で貢献度によりコンバージョンが0.5のキーワードがあると、このキーワードのコンバージョン単価は2000円になります。 1000 ÷ 0.5 = 2000
貢献度の間接的な評価は従来のコンバージョンに慣れているとわかりにくくなりますが、顧客との接点を持つと考えると理解はしやすくなります。例えば、CDやDVDを販売するショップが広告を出していたとします。初回に「お祭り ライブ」、2回目に「桃神祭」、3回目に「桃神祭 DVD 通販」というキーワードがクリックされていてコンバージョンが発生したとすると、従来では3回目の「桃神祭 DVD 通販」というものだけが効果があったと考えがちです。しかし、初回に「お祭り ライブ」というキーワードがなければ、その次のキーワードによる検索は発生していない可能性がある、ということがここから考えることができます。
Google広告のアトリビューションモデル
Google広告では検索広告によるコンバージョンへの貢献度を分析するために、「ラストクリック」「ファーストクリック」「線形」「減衰」「接点ベース」「データドリブン」の6種類のアトリビューションモデルがあります。コンバージョンを作成していくとデフォルトとしてラストモデルが選択されています。このモデルにより貢献度の割り振りが変わります。
ラストクリック
従来のモデルで、一番わかりやすい評価方法です。コンバージョンに至った一番最後のクリックの広告とキーワードのみ評価します。たとえ接点が多くあっても最後のクリックにのみ貢献度が与えられます。もし1クリックでのみコンバージョンが発生した場合は、ラストクリックで見てもファーストクリックで見ても同じキーワードと広告文が当てはまります。コンバージョンに繋がるダイレクトレスポンスが発生したキーワードを評価する形です。
ファーストクリック
ラストクリックと真逆の評価で一番最初に発生したクリックの広告とキーワードのみ評価し、貢献度が1与えられます。もし1クリックでのみコンバージョンが発生した場合は、ラストクリックで見てもファーストクリックで見ても同じキーワードと広告文が当てはまります。コンバージョンに繋がる集客ができたキーワードを評価する形です。
線形
接点が複数あった場合、その全てのクリックの貢献度を均等に評価します。接点に強弱を付けず同様に評価する形です。
減衰
コンバージョンまでの時間が短いクリックに、より多くの貢献度を割り当てます。貢献度は7日間の半減期を使って割り当てられます。つまり、コンバージョンの獲得日から 8日前のクリックは、コンバージョン達成の前日のクリックの半分の貢献度が割り当てられます。ラストクリックを高く評価しつつもそれ以前のコンバージョンも評価する形です。
接点ベース
コンバージョンにつながった最初と最後にクリックされた両方の広告とキーワードにそれぞれ40%の貢献度を割り当て、それ以外でクリックされた広告とキーワードに残りの20%を均等に割り当てるモデルです。ファーストクリックとラストクリックを高く評価する形で中間の接点が多ければ多いほどその貢献度は低くなります。
データドリブン
実際のコンバージョンデータを活用してキーワードを分析して貢献度を割り振るものです。最初から使えるものではなく、使えるようになるには過去30日に15000回以上のクリックと600回以上のコンバージョンが必要です。また使えたとしても30日以内のクリック数が10000回未満、コンバージョンが400回未満になるとこのモデつは使えなくなります。このモデルの場合は同じキーワードでも実際にコンバージョンに繋がると判断されたものに対して高く貢献度を分配します。
アトリビューションモデルをどう使うか
アトリビューションモデルも色々あり、どれが一番いいかというのは自分のビジネスにおいてどの角度でコンバージョンを分析するか、というところにあります。ラストクリックが全てにおいて重要というのであれば、ラストクリックだけを評価しても良いと思います。ただ、複数回の検索がコンバージョンに影響を与えていると考えると、全てのクリックは何かしらの形でコンバージョンに寄与していると考える方が自然ではないでしょうか。そう考えると減衰モデルや接点ベース、データが多いのであればデータドリブンが有効でしょう。
アトリビューションモデルを使うことでキーワードの醸成を想像することができます。複数回の検索では検索語句が違うこともあり、ラストクリックやファーストクリックだけでは見落とし可能性がある検索キーワードの変化をつかむことができます。(中には同じ語句で何度も検索する人もいますが・・・。)
初回のキーワードがミドルワードや「おすすめ ●●」などの部分一致で、最後のキーワードが自社の商品やサービスなどのブランドキーワードだった場合、サイトを訪れたユーザーに対してブランドキーワードを認知させることができていた!と考えることができます。
インプレッションとクリックが多いもののコンバージョンが少ないキーワードがあった場合、間接的にコンバージョンに貢献していたということは多々あります。特にミドルワードの完全一致はCPAが上がりやすいところもあり、コンバージョンに貢献しているかどうかというものも判断基準に入れておく必要があるでしょう。
まとめ
Google広告のコンバージョンを理解するということは広告成果を正しく評価する上で絶対に必要です。(湯水のごとく広告費を使うことができるというのであれば別ですが・・・)
そしてコンバージョンは掘り下げれば掘り下げるほど、細かく集計がされており精度の高い評価をすることができます。しかし、そこまでする必要がない、リソースがないというのであれば従来のラストクリックだけでも十分に使えます。機能があるから使うのではなく、精度をあげる目的で使うことが機能に振り回されない正しいやり方でしょう。ただ、正しく運用を行っているとコンバージョンの精度をあげることが必ず必要になってきます。来るべきに備えてアトリビューションモデルを活用していくことをおすすめします。
アトリビューションレポートについては後日
<この記事のポイント>
・コンバージョンはツールや機能により集計のタイミングが違う
・Google広告のアトリビューションモデルを使うことでキーワードや広告の間接的な貢献度が計測できる
・ラストクリックで見落としがちなミドルワードや部分一致での初回接触を評価しやすくなる
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