検索広告でのインプレッションシェアの有効な使い方

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広告が表示されることをインプレッションといいますが、そのインプレッションが実際にはどのくらい表示されていたのか、を知ることで表示機会の最大を推察することができます。広告でも機会損失は無いほうが良いですが、実際には多くの機会損失も発生しています。以前に機会損失である広告が表示されない理由としてインプレッションシェアをお話ししましたが、今回はそのインプレッションシェアについてより詳しく、またその指標の有効な使い方をご説明します。

インプレッションとリーチ

広告を運用していくとクリックしてサイトへ誘導する以前にその広告が表示されたのか、を考えなくてはなりません。その広告が表示された回数を表す指標をインプレッションといいます。この指標はどちらかといえば受動的に情報に接する潜在層向けに評価するもので、ディスプレイ広告で「インプレッションが多いと多くの人に何回も広告を見られて認知されたよね」というような認知獲得できたかを判断するための指標としての使われ方が多いものでした。しかし、同じ人に何回も表示されるのは好ましくないと考えられ、フリークエンシーキャップと呼ばれる表示の上限回数が設定できるようになりました。

インプとシェア
そして、インプレッションではない実際に広告を見たであろうユニークユーザーの数を示したものがリーチと呼ばれる指標で、ざっくりいうとインプレッションをフリークエンシーで割った値くらいになります。リーチが多い方が数多くの人の目に触れる機会を得るのですが、人は能動的出なければ一回で物を覚えることはあまりないので、実際に認知を獲得するには複数回広告を目にする必要があります。そこでインプレッションとリーチの両方を評価する必要があります。

検索広告でのインプレッション

検索広告でのインプレッションは認知獲得目的を評価する指標かというとそれだけではありません。検索の場合はユーザーの行動は能動的であり、その検索行動の背景にはニーズが存在します。ニーズが明確であればあるほど、ピンポイントで情報をえようとするので「商品やサービスを認知する情報」より「商品やサービスでニーズを満たす可能性」が優先されます。このニーズを満たす可能性が高ければ結果として認知を獲得できます。

では検索広告でのインプレッションはどう考えるか、というと能動的なユーザーに対してよく広告を表示させることができたのかという指標になります。能動的な検索がコンバージョンに近いことを考えると、検索時に広告が表示されないことは機会損失と考えることができます。

インプレッションシェアとは

Google広告やYahoo!広告にはこの機会損失を判断するための指標として「インプレッションシェア」「インプレッションシェアの損失率(ランク)」「インプレッションシェアの損失率(予算)」があります。さらに検索結果の上位枠表示での「上部インプレッションシェア(ランク)」や最上位枠表示での「最上部インプレッションシェア(ランク)」も表すようになりました。

インプレッションシェアとは本来表示されるはずだった表示機会数を母数に実際表示された回数を割ったもので、広告ランクが低いため機会損失が発生したものが「インプレッションシェア損失率(ランク)」、キャンペーンの予算が不足したため機会損失が発生した物を「インプレッションシェア損失率(予算)」といいます。これらの関係はインプレッションシェアとシェア損失率(ランク)及びシェア損失率(予算)を全て足すと100%になります。
インプレッションシェアについて
(関連記事:広告が検索結果に表示されない4つの理由
広告の上部枠または最上部枠は広告ランクによって決定づけられるため予算不足による損失はなく、全て広告ランクによる損失のみになります。

検索広告でのインプレッションシェアの見方

検索広告でのインプレッションシェアの判断のしかたはいろいろありますが、一番考えるべきはキーワードレベルでのインプレッションシェアです。一つの広告グループの中にはいくつかのキーワードが設定されています。完全一致やフレーズ一致、部分一致も絞り込みがあったりと人によっては何十ものキーワードを入れている場合もあります。ただ全てをみるにはあまりにも効率が悪いので、①コンバージョンが多いキーワード・②広告グループの核となるキーワード③インプレッションが多いキーワードを中心に確認します。

優先確認すべきキーワードのポイント

①のコンバージョンが多いキーワードは適切に露出が拡大できればコンバージョン数を増やす可能性が高いため、インプレッションシェアがどのくらいかを知っておくことはとても重要です。

しかし、コンバージョンに関係するキーワードは重要ですが、長期間でセグメントした部分一致キーワードで見てみるとコンバージョンしているものの1以下のも多くあります。その場合はコンバージョンが少なくても検索クエリに共通部分が多くあればその共通部分をキーワード登録してシェアを拡大させます。
次に②の広告グループで核となるキーワードですが、ビジネス上狙っているキーワードのため重要なはずです。コンバージョンに直結はしていないもののアトリビューション分析をしてみると最初のタッチポイントとなっているようであればインプレッションシェアを上げても良いでしょう。
最後に③インプレッションが多いキーワードですが、インプレッションが多くシェアが低い場合はそもそもの検索量が多いキーワードです。その場合は無理にシェアを高める必要はありません。ただ部分一致の拡大解釈で検索クエリに大きなばらつきがある場合は除外をかけていき、インプレッションの量を減らしてキーワードの精度を高めます。その結果無駄が減るのでシェアは少し改善されます。

インプレッションシェア改善での課題

インプレッションシェアを上げる場合、ほとんどがコストに影響があります。損失が予算であればキャンペーン予算を増やすか上限クリック単価を下げることで回避することはできます。ただ、上限クリック単価を下げると広告ランクは下がるので、元々十分な予算を当てすぎていた場合以外は広告ランクによる損失に切り替わります。

広告ランクでの損失は広告の品質を上げるか上限クリック単価引き揚げて広告ランクを引き上げることにで改善します。品質を上げるには時間がかかるので上限クリック単価を上げる方が遥かに簡単です。しかし、上限クリック単価を引き揚げると単純にコストが上がるため比例するようにCPAが上がる場合も多いです。このことから許容できるCPAでCVが最大化できるようなシェアを見つけることが重要となります。また、この逆もしかりで、シェアが100%であってっもシェアを下げてもCVに大差がなければコストダウンできるのでCPAの改善につながります。

実際のCPAが目標CPAを大きく下回っている場合はシェアを上げてCVを確保しにいくべきで、シェアが高いものの目標CPAより大きく乖離しているのであればクリック単価を下げる、つまり結果としてシェアが下がることも考える必要があります。
コストのバランス
広告戦略として上部または最上部インプレッションを確保したいのであれば、余程品質が悪く無い限り上限クリック単価を引き上げることになります。サイトへの集客や競合より上の広告表示を目的とした場合は有効ですが、クリック単価も比例して上がるのでどこまで許容できるかが鍵となります。

まとめ

ユーザーのニーズが高い検索で広告を効果的に表示させることはとても大切です。インプレッションシェアはそれができているかどうかを測る時にとても有効ですが、そもそものキーワードが雑に設定してある場合は無駄なインプレッションも含まれるため評価がしにくくなります。

またシェアという指標はあくまでも単に機会を表す(または失われた機会を表す)指標であり、シェアが100%だからと言って必ずしもビジネスで成功というわけではありません。ただ、ある程度の広告予算をかけなければインプレッションすらまともに発生しないような状況にもなりかねません。CPAが合えばこその指標なので、まず検索クエリとキーワードの質を高め、目標CPAに近づいてからこそシェアを伸ばすよう考えた方が良いでしょう。

<この記事のポイント>

・インプレッションシェアと損失率は合計すると100%になる

・コンバージョンが取れるキーワードのシェアは重要。ただしCPAが合わないのであれば無理に上げる必要はない。

・広告ランク不足でのインプレッション損失はクリック単価を上げることや品質改善で行う。

・シェアは高いから良いわけではなく、ビジネスにあったCPAで収めることが重要。

About Daigo Hirano 52 Articles
広告代理店や飲食業を経てECへ。熊本を根城にしてウェブ解析やウェブ広告の運用代行、SEOコンサルタントなどウェブ集客に特化した広告代理店をはじめました。 ウェブ広告はGoogle広告、Yahoo広告などのリスティング広告のほか、Facebook広告などSNS広告も行っております。 熊本・福岡・東京を中心に、大手代理店にお願いできない中小企業にスキルと知識を用いて集客支援をしています。

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