せっかくメルマガを出すのだからどのくらい読まれているか知りたい!と思うことでしょう。メールマーケティングに限らず、リードナーチャリングを考えていたり、CRMを重視しているのであればメールの反応は重要視すべきところです。仮にメールに反応がなくても、開封状況が少しでもわかればそのメールのどこに問題があるのかも把握することができます。
テキストメールであればできませんが、HTMLメールで配信しているのであればパラメータ付きの画像を仕込むことで開封状況を掴むことができます。しかも、Googleのサービスである「Hit Builder」を使えば、パラメータも簡単に作成することができます。
メールの開封がわかる仕組み
テキストメールではなくHTMLメールを使うことで、メールの開封を掴むことがわかるのですが、それはなぜでしょうか。正確にはHTMLメールで画像を使うことで開封を掴むことができます。
HTMLファイルはブラウザで読み込まれることでHTMLや記述されているCSSなどが読み込まれます。HTMLを読み込む時にimgタグが書いてあれば、その参照元にファイルを読み込みに行きます(リクエスト)。この画像やPDFなどの読み込む単位をヒットと言います。
そしてヒットの際のファイルのリクエストにGoogleアナリティクスのMeasurementProtocol(メジャーメントプロトコル)を使う事で、参照元の部分についたパラメータを集計、特定のヒットを掴むことができるようにします。HitBuilderでは、そのパラメータ作成に使用するウェブツールです。
MeasurementProtocolでできること
MeasurementProtocolと聞くとちょっとハードルが上がった感じもしますが、使う部分だけ理解すれば問題ありません。そもそもMeasurementProtocolとは”データ測定の決まり事”を意味しており、この決まり事に従いHTTPリクエストを使ってデータの受け渡しを直接アナリティクスのサーバに行うことで、オンラインとオフラインの行動を結びつけたり、メール開封のようなユーザー行動を知ることができます。このプロトコルで集計できるものはユーザーの操作で発生するイベントやヒットのみです。
また、受け渡すデータのパラメータは種類は決まっていますが、Googleアナリティクスで設定したカスタム定義にも受け渡すことができます。従来イベントとして処理していたものも、このMeasurementProtocolを使えばHTMLにパラメータを乗せて渡すことで同様の処理を行うことも可能です。
Hit Builderについて
と、いうことでメール開封の状況を掴むためにMeasurementProtocolを使うわけですが、HTMLメールを開いた時の画像読み込み(ヒット)を利用して画像にパラメータを仕込みます。理屈がわかればパラメータは簡単に追加できますが、不慣れな人向けに「Hit Builder」を使うと簡単にパラメータを作成することができます。
Hit Builder
利用の際にはGoogleアカウントに紐づける必要があります。
設定が必要なパラメータ
Hit Builderを使うにあたり、設定が必ず必要なパラメータが4つあります。
v | プロトコルのバージョンです。最新は「1」です。 |
t | ヒットの種類です。「pageview」、「screenview」、「event」、「transaction」、「item」、「social」、「exception」、「timing」があります。メルマガの場合は「event」にします。 |
tid | トラッキングIDです。googleアカウントに紐づいているプロパティから該当するものを選択します。 |
cid | クライアントIDです。特定のユーザー、デバイス、ブラウザのインスタンスを匿名で識別するものです。特に集計を考えないのであればランダムで生成されるIDを使用します。 |
cidの代わりにUserIDを識別するuidを設定することも可能です。
クライアントID(cid)の扱い
クライアントIDは、クライアント端末での識別を行わないのであれば、HitBuilderが自動で生成するものでも構いません。ただ、ユーザーエクスプローラーといったクライアントIDを使い、ミクロ分析をするのであればanalytics.jsを使いクライアントIDを抽出する必要があります。
手順としては
1.サイトから得られるUserIDをカスタムディメンションで記録させる。
2.analytics.jsを使い、UserIDとクライアントIDを抽出する。
3.メルマガの配信対象者のUserIDからクライアントIDを割り出し、メール配信システムに取り込む。
4.メール配信システムが自動でクライアントIDをcidに挿入する形で配信する。
この形が実現できるのであれば、問題ないのですがやはり手間がかかります。また、これにはメール配信に使うサービスがこのようなやり方に対応していなければ一切できません。ツールの対応状況とID抽出の自動化ができるのが理想でしょう。
HitBuilder自体はcidを使わないのであればuidを設定する事で使うこともできます。この場合、uidはモールから得られるUserIDとなり、クライアントIDを取り込むより簡単かもしれないです。ただ、UserIDはユーザーがサイトにログインしていなければUserIDは割り当てられません(cookieが残っていれば別)。とまあ、色々書きましたが開封率だけ考えるのであれば数がわかればいいだけので、HitBuilderが自動で生成するものでも構いません。
設定しておきたいパラメータ
Hitbuilderを使う上で必要な設定ではないけれど、設定していた方が分析の上で役に立つパラメータがあります。
dp | ドキュメントパス。GAの「イベント」>「ページ」で集計されます。メルマガの場合、URLがないのでここに「/email/」など設定すると集計できるようにしなります。 |
dt | ドキュメントのタイトルです。「ページタイトル」で集計されます。メールの件名でデータを取りたい場合はここに「件名」を設定します。 |
ec | イベントカテゴリーです。どのようなイベントかの大枠を設定します。メルマガの場合は「email」にします。 |
ea | イベントアクションです。どのようなユーザーの行動が発生したかを設定します。メルマガの場合は「open」にします。 |
これらの設定をすることで、様々なイベントトラッキングを行なっていてもメルマガの分析が行いやすくなります。
メルマガからのリンクパラメータについては、Campaign Builderで別にリンクのURLにパラメータをつけるのが望ましいです。
(関連記事:カスタムキャンペーンでURLにパラメータを設定をする)
ヒットの検証をする
Hit Builderでパラメータを設定します。
最低限必要な「v」「t」「tid」「cid」もしくは「uid」だけでも設定できれば、上部にある「validate hit」(ヒットを検証する)をクリックします。
パラメータが問題なければ以下のように青い「validate hit」の部分が緑の「Send hit Google Analytics」に変わります。
「Send hit Google Analytics」をクリックすると、イベントがトラッキングされるのでアナリティクスのリアルタイムで正しく設定できているかを確認します。
画像にパラメータを設定する
ヒットの検証を行い、正しく集計がされていのが確認できれば、次はパラメータを設定したimgタグを作ります。パラメータは下記のURLの●●●●にペーストします。
<img src="https://www.google-analytics.com/collect?●●●●●●">
このimgタグはメルマガが全て表示されたことがわかるようにHTMLの最下部に貼り付けます。参照元となる「https://www.google-analytics.com/collect」は画像を表示しませんのでHTMLメールのデザインに影響を及ぼすことはありません。
開封率を上げるタイトルをつける
HTMLメールに上記の手順でパラメータを仕込んだとして把握できるのはメールの開封が発生したイベント数です。そのため、開封率については自分で計算する必要があります。
開封率 = 配信したメールのイベントアクション「open」の数 ÷ 配信メール総数
業種にもよりますが平均的な開封率は10%~20%に間にあります。中でも小売(Retail)といった競合が多い業種では11.84%と低いものとなっています。
(参照元:メールマーケティングエンゲージメントとレスポンスの統計情報2018)
ただメルマガの場合は件名によるところが多いです。ユーザーの興味関心を引くタイトルや適切なセグメントにあったタイトルなどを付け、開封率の良いタイトルをつけるように心がけましょう。
<この記事のポイント>
・メルマガ開封のデータをアナリティクスに集計させるMeasurementProtocolを理解しましょう。
・リンクのパラメータはCampaign builderを使い設定する
・メールは件名によって開封率が変わるので、ユーザーの興味関心を引くようにしましょう。
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