予てよりリリースの話があったGoogleシグナルのベータ版が本日リリースされました。クロスデバイストラッキングを勝手にGoogleが行ってくれるという機能。ECサイトのようにユーザー管理をしていなくても、Googleアカウントを使ってクロスドメイントラッキングが行われるのです。さて、そのGoogleシグナルについて説明をします。
クロスデバイスとは
インターネットが登場・発達したことで世の中の社会環境が大きく変化しました。また、スマートフォンが登場することでライスタイルにも変化が現れています。スマホの登場はインターネットの世界ではこれまでパソコン(ノートPC含む)で接続するのが常だったものが、各個人が外出先でこれまでと同じようにインターネットができるようになりました。スマートフォンの普及により、ネットへの接続の利便性が向上したため、Googleもモバイルファーストを掲げるようになりました。
情報を取集するためのツールとして活躍するスマホですが、ネット通販などの最終決断の場面ではいまだに多くのPCが使われています。通勤時や、昼休みなどに商品情報を収集し、帰宅後にPCで再度確認して購入する。このようなデバイスを跨いだ購入や申し込みはクロスデバイスと呼ばれ、複数のデバイスを使ってコンバージョンが発生するようになりました。
Googleアナリティクスでは、何もしなければこのようなクロスデバイスでもスマホで情報収集をした人とPCで購入した人として分けて集計をします。このズレを減らすためにuser_IDというディメンションを使い、サイトから発行される情報をuser_IDに渡すことで同一ユーザーと識別をしています。
user_IDを使うことで多少はユーザーを紐付けることはできますが、それぞれのデバイスでサイト上でのログインが必要であり、どちらかがログインしていないければ紐付けをすることができません。また、サイトがuser_IDに格納できる値を渡す機能がなければクロスデバイス集計ができません。
Googleシグナルとは
user_IDを使ったクロスドメイントラッキングはできるものの、それ以外方法でのトラッキングはこれまでできませんでした。そこでGoogleシグナルが登場し、クロスデバイストラッキングを容易に行うことができるようになりました。
では、なぜこのGoogleシグナルでクロスドメインに対応できるのかというと、Googleアカウントのデータを使うからです。正確には関連付けの対象となるのは、広告のカスタマイズを目的としたこうした関連付けに同意しているユーザーのみです。また、Googleアカウントにログインしている時のエンドユーザーの位置情報、検索履歴、YouTubeの利用履歴、Googleのパートナーサイトで収集されたデータなどが含まれる可能性があります。
Googleシグナルを有効にすることで加わる機能
Googleアカウントには「個人情報とプライバシー」という設定項目があり、ユーザー自身が「広告設定」を行えます。この設定はデフォルトで広告のカスタマイズがオンになっているので、Googleアカウントログイン時の検索や閲覧、youtube再生履歴などを元に近しい広告が配信されるようになっています。
Googleシグナルを使うことでユーザー情報の精度が上がることから有効なマーケティングキャンペーンを行うことができます
リマーケティング機能の強化
これまでアナリティクスでセグメントして生成したユーザーリストをGoogle広告のリマーケティングリストとして使うことができました。Googleシグナルを導入すると、クロスデバイス対応のユーザーリストを作ることができます。また広告のカスタマイズをオンにしているユーザーに広告配信ができます。
従来の広告機能の強化
これまであった「広告レポート機能」や「ユーザー属性レポートとインタレストレポート」は引き続き使用することができます。Googleシグナルを導入することで広告のカスタマイズをオンにしているユーザーの情報を追加します。
クロスデバイスレポートの作成
クロスデバイスの集計が可能になったことでアナリティクスの「ユーザー」の項目に「クロスデバイス」が追加されています。広告のカスタマイズをオンにしているユーザーのデータを基に、端末のタイプごとにユーザーベース全体の行動をモデル化します。使用されるデータは、セッションベースではなくユーザーベースで、まだベータ版のためかセグメントすることはできません。
(クロスデバイスによるデータが蓄積した時に記事にします。)
Googleシグナルの設定方法
Googleシグナルを実際に使うにはプロパティでの設定が必要になります。また複数のプロパティがある場合は、Googleシグナルを導入したいプロパティを選ぶ必要があります。
Googleシグナルを有効にする
Googleシグナルは以下の手順で有効にします。
1・をクリックし、プロパティを開きます。
2・「トラッキング情報」から「データ収集」を選択します。
3・以下のような画面が出た場合はGoogleシグナルを使いたいプロパティを選択し有効化します。
設定はこれだけです。リリースしたばかりで管理画面上部に出ているアナウンスから有効化していくこともできます。
まとめ
これまでデバイスを跨ったユーザーはユーザーIDが発行できるサイトでのみ収集することができました。今回のGoogleシグナルの導入でログイン機能のないサイトやメディアサイトでもクロスデバイストラッキングができるということは、その人たちにとってはこれまで実践できていないマーケティングプランを実践することも可能になるということです。また、出来たいた人たちにとってもコアなユーザー情報を元にリマーケティングを仕掛けることが出来ます。
もちろんみんながみんなGoogleアカウントにログインしているというわけではなありません。なので、ユーザーIDをつかっている方はそれと合わせてGoogleシグナルを使うとことで、重複はいると思いますが「Googleアカウントの無い会員ユーザー」と「会員かどうかわからないGoogleアカウント保持者」でユーザーリストの対象を増やすことができます。
色々書きましたがこの機能はクロスデバイスの情報を収集することが目的では無いでしょう。収集した情報を分析し、リストとして活用することでよりユーザーにマッチした戦略を取り、最終的にビジネスに活かすために使うことが重要でしょう。
<この記事のポイント>
・Googleアカウントでログインした時の情報を収集し紐付ける仕組み
・クロスデバイス対応のリマーケティングリストで広告カスタマイズをオンにしているユーザーにコアなアプローチができる
・ユーザーIDを使わないので全てのウェブサイトで使うことが可能。ユーザーIDも併用して良し。
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